人事制度構築

業界数十年の老舗企業であるM社様は、これまで明確な評価制度を運用したことがなく、経営層の判断のみで従業員の評価（＝給与）が決定されていました。高額なコンサルティングを入れて等級・賃金・評価制度導入を図りましたが、運用体制が確立しないままに一気に導入したため、運用を断念した経緯があります。そのご経験から、ごく簡単なものでも良いので自社でもしっかり運用できる評価制度をつくりたいというご相談です。

人事制度にかける思いを社長様はじめ経営幹部へヒアリングした結果、皆様に共通するのは「これからも会社を永続させたい」という強い想いでした。現状のままでは先細りになる危機感を持ち、社員が目的意識を持って成長できる評価制度をつくる、という方向性が固まりました。

最初にやったことは、会社が理想とする社員像の明確化です。従業員が身に着けてほしいスキルや行動特性を評価項目に設定するため、担当業務と役職に応じて複数の評価基準群を記載した評価シートを6種類作成しました。目標管理制度も導入したかったのですが、実質的に初めての制度運用だったため、初年度からの導入は見送りました。既に一期分の評価制度の運用が終わっていますが、今のところ大成功と言えるほど、制度運用の素地が整ってきました。一番苦労した点は、各部署での「標準評価」の目線のブレを合わせることでしたが、評価者研修での実地訓練や、評価者同士での意見交換の積み重ねによって大きく改善されました。何よりも、上司と部下のコミュニケーションが増えたことに社長様が一番喜んでくれました。上司と部下がお互いを知るというのは、人事評価制度で最も重要なポイントの一つです。来期からは従業員個別の目標管理制度を導入し、上司・部下間で目標の進捗管理を行う制度を導入する予定です。

M社様（小売業）